// . //  知見/レポート //  デジタルトラスト:銀行は私たちのデジタルID の安全をどう守るか

レポートをご覧いただいている皆様へ

身分証明や個人情報の共有をデジタル的に行うサービスを指す「デジタルID」が世界中で注目されています。日本のデジタルIDとしてはマイナンバー制度があり、銀行・証券口座との紐づけが進んでいます。また、 マイナンバーカードの健康保険証としての利用が開始し、今後はカード自体がスマートフォンに搭載され て、運転免許証とも一体化する方向で検討されています。将来的には民間での利活用が広まり、引越・ 転職・結婚・相続等のライフイベントでの手続きや、様々な金融取引の利便性向上が期待されます。

本稿ではこの注目テーマについて、第1章でデジタルIDの概要およびスキーム類型に触れた後、第2章ではデジタルIDにおける銀行の役割を掘り下げ、第3章でデジタルID施策を成功させるための鍵となる要素を整理しています。 

この中では、プライバシーに関する議論の他、金融機関による関与の在り方や、グローバルでの様々な デジタルIDの取り組みパターンについても言及しています。

やがて各国・地域がデジタルIDの相互運用性を高めていくと見られる中、日本でもグローバル動向を注視しつつ、着実に対応を進めていくことが求められます。

金融機関を含む関係者にとって、デジタルID施策を契機とした収益性向上や新たな収益源確保も視野 に入れつつ、どうアクションすべきか検討する一助となれば幸いです。

オリバー・ワイマン
佐藤広大